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千葉地方裁判所 昭和58年(わ)390号 判決

裁判所書記官

内畠義弘

本店所在地

千葉県茂原市下永吉三八二番地の一

法人の名称

株式会社 茂原商事

(右代表者代表取締役宮崎勝治)

本籍

千葉県茂原市茂原一〇二七番地

住居

同県同市下永吉三八二番地の一

会社役員

宮崎勝治

大正六年六月五日生

右の者に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官居森代出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社茂原商事を罰金一五〇〇万円に、被告人宮崎勝治を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人宮崎勝治に対し、その裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社茂原商事は、千葉県茂原市下永吉三八二番地の一に本店を置き、遊技場の経営を目的とする資本金一五〇〇万円の株式会社であり、被告人宮崎勝治は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人宮崎は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五四年八月一日から同五五年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二四九八万八〇四円あったのにかかわらず、同五五年九月三〇日、同市高師八七〇番地所在の所轄茂原税務署において、同税務署長に対し、欠損金額が六八万五六四六円で納付すべき法人税額はない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九一四万九二〇〇円を免れ

第二  昭和五五年八月一日から同五六年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五〇七四万一一六六円あったのにかかわらず、同五六年九月三〇日、前記茂原税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五三〇万四九五四円で、これに対する法人税額が一五九万一二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額二〇三五万一二〇〇円と右申告税額との差額一八七六万円を免れ

第三  昭和五六年八月一日から同五七年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一億一三二一万二二〇一円あったのにかかわらず、昭和五七年九月三〇日、前記茂原税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二三〇九万五五三四円で、これに対する法人税額が八七二万七三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四六五七万六四〇〇円と右申告税額との差額三七八四万九一〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人宮崎の当公判廷における供述

一  被告人宮崎の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  被告人宮崎作成の申述書

一  中村三枝子の検察官に対する供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大平ヤスエ(二通)、清水文平(二通)、梅山二三夫、渡辺正光、篠田哲彦、小川勇の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  池田証、浅野緑、斉藤良文、市之川篤二、鈴木弘、服部明已、押田博子、畠山慶一、淡路晴生作成の各申述書

一  小池光雄作成の「金地金の売上について」と題する書面

一  大蔵事務官作成の預金調査書、金地金調査書、代表者勘定調査書、総売上高調査書、貸金調査書、給料手当調査書、受取利息調査書、事業税認定損調査書、現金調査書、仮払源泉税調査書、未払源泉調査書、短期借入金調査書、未納事業税調査書、不突合金額調査書、簿外預金入出金状況調査書

一  被告会社の登記簿謄本

一  押収してある売上集計ノート一冊(昭和五八年押第一三九号の7)、金銭出納帳一冊(同押号の8)

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検察官請求証拠等関係カード申番号2)、法人税額計算書(同カード甲番号5)、各申告欠損金調査書

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の1)、現金出納帳一綴(同押号の4)

判示第二、第三の事実について

一  大蔵事務官作成の価格変動準備金繰入調査書、価格変動準備金調査書、繰越欠損金の当期控除額調査書

一  押収してある時間別売上表一袋(同押号の10)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同カード甲番号3)、法人税額計算書(同カード甲番号6)、繰越欠損金の当期控除調査書

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の2)、現金出納帳一綴(同押号の5)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同カード甲番号4)、法人税額計算書(同カード甲番号7)、価格変動準備金戻入調査書

一  押収してある法人税確定申告書一綴(同押号の3)、現金出納帳一綴(同押号の6)、金銭出納帳一冊(同押号の9)(法令の適用)

被告会社の判示第一の所為は昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項に、判示第二、第三の各所為は法人税法一六四条一項、一五九条一項にそれぞれ該当し、被告人宮崎の判示第一の所為は行為時においては昭和五六年法律第五四号による改正前の同法一五九条一項に、裁判時においては右改正後の同法一五九条一項に該当するが、右は犯罪後の法令により刑の変更があったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、判示第二、第三の各所為は法人税法一五九条一項に該当するところ、被告人宮崎については所定刑中懲役刑を選択し、以上はいずれも刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で罰金一、五〇〇万円に、被告人宮崎については同法四七条本文、一〇条により刑及び犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年にそれぞれ処し、被告人宮崎に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 石田恒良 裁判官 古口満 裁判官 駒井雅之)

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